おなかいっぱい、シアワセいっぱい

VOL.21「夕涼みサイダーポンチ」


暑い暑いとワメいていたら、早いものでもうお盆。
不思議なもので、あれだけ酷暑に喘いでいたくせに、いつもこの時季になると、ひぐらしのカナカナカナという鳴き声をBGMに、ゆく夏へのなんともいえない寂寥感を覚えてしまう。
そして、なんだか急に夏を味わっておこうという気分になるからゲンキンなものだ。

というワケで、お盆休みには関係無い友人たちも、この時期 仕事はのんびりモードになるので、明るい夕暮れから集合し、「夕涼み家飲み」のスタートである。

この夕涼みサイダーポンチは、いわばウェルカムドリンク。
ほぼ全員が、「あっつぅ~」と言いながら玄関を入ってくるので、最初の1杯にとても喜ばれる。
ノンアルコールはノーサンキューの呑兵衛たちであっても、見た目も涼しく、地サイダー使用と聞けば、「おっ、どれどれ」「ではでは1杯」となる。
やはり皆、どこか懐かしいサイダーに魅せられるのだろう。

幼い夏の日、両親と泊まった海辺の旅館の冷蔵庫に入っていたサイダー、お風呂上りに縁側で猫と並んで飲んだサイダー、幼稚園帰りに友達の家(銭湯だった)で営業前の大浴場で飲んだサイダー…思い出すと
胸がキュンキュンする、懐かしの食の魔法がここにもある。

サイダーポンチには、伊豆大島の伝統海塩のまろやかな塩テイストとシチリアレモンの酸味がイケる塩レモンサイダーを使った。
世界農業遺産認定 能登の揚げ浜式 製塩法の海塩水を使った、ほのかな塩味と優しい甘みの奥能登しおサイダーや、神奈川ブランドの柑橘果実・湘南ゴールド果汁入りのサイダーはスキッとした甘みで、いずれも好みの美味しさだ。

サイダーポンチに入れるフルーツはその時の気分で選ぶが、今回はスイカ、メロン、イチゴ、ブルーベリー。
最後にミントの葉を浮かべると、見た目も香りもより涼感が出る。

蜜豆用の寒天にイチゴとあんをのせ、シロップの代わりにサイダーを注ぐと、シュワシュワと爽やかで美味しい。こちらは奥能登しおサイダーで。

旅先で訪れた民家カフェの軒先、湧き水でサイダーが冷やされていた。
やはりサイダーにはこんなレトロな景色がよく似合う。

KITANOTOMOKO

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

表示価格は、ホームページ掲載時の消費税率による税込価格です。