おなかいっぱい、シアワセいっぱい

VOL.1「パンとの出合い~コンビーフサンドへのオマージュ」

パン、パン、パン―またしても女子が愛するパンのブームが来ている。いやブームというより、熱い状態がフツーになっているような感じ。今の人気は、ビジュアル系のサンドイッチやオープントースト。これでもかというぐらい、カラフルな野菜やフルーツ、ハム、チーズ、ナッツなどなどをサンドして、のっけて、ロールして。

と、このようなイントロの割には地味めで申し訳ないが、どんなにカラフルなサンドイッチが流行ろうと、私の中でサンドイッチ王座に君臨するのは、「コンビーフサンドイッチ」。
それは、愛するパンとのお付き合いが始まったのがこのサンドイッチだから。

今となっては自分でも信じられないほど、おチビの頃は好き嫌いがひどく、なぜか幼稚園児の頃は、パンそのものおよび、パン&バター、あるいはジャム、マーマレードというベーシック・コンビネーションが苦手だった。(プーさんの影響ではちみつは大好きだったが) 朝、グズグズと食べている私に、お迎えバスに乗り遅れるとイライラしていた母が、その小さなパンのカケラを取り上げ、大好きなコンビーフをわしゃっとサンドしてくれたのだ。わずか3秒後に完食した私は、「行ってきまぁす!」シャキィ~ン!と幼稚園バッグをナナメ掛けにして家を跳び出す。以来、コンビーフサンドはもちろん、パンは私の大好物となった。

今、コンビーフはもっぱらBARで注文するアテアイテムとなったが、時々サンドイッチにして食べると、その思い出が甦り、心がほんわり温かくなる。つくづく思い出の食べものの持つチカラは強い!

コンビーフサンドイッチのアップ

コンビーフサンドイッチの由来はN.Y.にあり。
1930~40年代にかけてN.Y.のReuben’s Restaurantで生まれたという「ルーベン・サンドイッチ」がベースになっているとか。現在 コンビーフまたはパストラミに、たっぷりのザワークラウトとチーズを組み合わせたサンドイッチとしてN.Y.名物に。

サンドイッチ具材

大好物のコンビーフは値の張るものでもOK。
近江牛の特選部位・ウチモモ肉だけ使った滋賀県・大吉商店のコンビーフは、
しっとりと柔らかく、肉の旨みにスパイスとブイヨンが絡み、なんともいえない複雑なおいしさ!
ライ麦パンの香ばしさ、ザワークラウトのマイルドな酸味、エメンタールチーズのコクが加わり、口の中で幸せが広がる。

コンビーフ&ポテサラ&ホワイトアスパラ&トースト

BARでは このスタイルがお気に入り。
百人一首かるたサイズにカットした薄いトーストに、
それぞれの具材をのせ、心ゆくまでハイボール、の夜。
<長年愛する梅田の老舗BARにて撮影>

エメンタールチーズの端っこ焼き

エメンタールチーズの塊の端っこの部分、フライパンで炙ってブラックペッパーをパラパラでワインのアテに。モチモチでおいしい!

べつばらチョイス 今、ブームの食パンの面白いイベントを発見。
百貨店の各フロアごとに、
大阪の街のパン屋さんが自慢の食パンを
引っ提げて登場している。
梅田ではお目にかかれないラインナップで、
お店の人との会話も楽しい。
堺市の泉北堂の食パンはコクのあるテイスト、
クラストはカリッと、
クラムはふんわりもちもち。
ぶ厚いトーストにして、たっぷりバターで食べようっと。

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

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