我が家の初春のテーブルを飾る「鍋初め」は雉鍋。
もともと肉系の鍋は野生派好みで、猪、鴨などが大好物。
旅先で雉鍋をつついたことはあっても、なかなか家で食べる
機会がなかったので、ひとつ豪快に食べようと、新年に取組むことに。
雉は日本の国鳥で、古くは仁徳天皇が遊猟の際、
雉を獲ったという伝えが日本書紀に記されている。
平安時代には神饌に雉を供えたとされ、
平安期の宮中料理を伝える『四条流』には、
「ただ鳥といえば、雉をさすもの」とある。
現在でも宮中の新年祝賀の儀には、
「きじ酒」(塩を振った雉のささみの薄切りを焼き、
杯に入れ熱燗を注ぎ、5分ほど置く)が出るといわれ、
雉は尊い鳥とされつつ、古代から舌鼓も打たれていたようだ。
「鍋初め」におすすめするからには、本番前の”試し雉鍋”の
様子のレポートをば。
大きな丸ごとの雉は、雉鍋用とロースト用にとオーダーして、
捌いてもらうと、惚れ惚れするほど美しい 濡れたように輝く
桃色の胸肉、「おいらは雉だぜ」と言わんばかりのブラッディな
赤色のもも肉、大きな体格の割にはプチサイズな手羽、
ささみ、骨がずらり。その量の多さにもびっくり。
骨で取った出汁は驚くほど透明で美しく、ここへ日本酒、淡口醤油、
味醂、塩で好みの味に調整。
雉肉には土の香りが合うだろうと、セッセとごぼうをささがきにし、好物のこんにゃくをちぎり、豆腐、茸類、菊菜などを用意。
いつもながら、何かを食べるための段取りは、仕事よりも圧倒的なハイスピードで、ほとんど”食い意地という執念”の塊だ。
さてさてそのお味はというと、皮の脂のコク、シコシコ肉の深い旨み、
その肉汁が流れ出した出汁で煮た野菜とこんにゃくのおいしさといったら、少しの間、口がきけないほど!
今まで食べた どの雉鍋よりも旨く、雉の脂とコクが絡みついたシメの蕎麦を食べる頃には、感動と満腹のあまり、ため息の連発。
ああ、いつまでもお腹が一杯にならなければいいのにと心底願った、「鍋初め」の雉鍋のための”試し雉鍋”であった。
●鳥鹿 カナダ産 雉肉(養鶏/1羽)5,775円
※1羽を解凍して捌くため、3時間程かかります。
◎かしわ
大和の地で有機栽培したこんにゃく芋で仕上げたこんにゃくは、モチモチの歯応えで美味。
●諸国豆腐 松音 大和糸こんにゃく(1袋180g)210円
雉鍋には大豆の甘みと旨みたっぷりで、ほろほろのもめん豆腐を。
●諸国豆腐 京仁助 京もめん豆腐(1丁)242円
◎豆腐
土の香りのするごぼうや茸類、クセのある味わいの菊菜、雉の脂によく合うほうれん草などがおすすめ。
●ごぼう、椎茸、しめじ、菊菜、ほうれん草 時価
◎野菜
シメには断然、蕎麦が合う。鍋に入れると丁度いい塩梅になるよう硬めに茹で上げておく。
●丸古 新そば(2人前)452円
◎めん
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