おなかいっぱい、シアワセいっぱい

秋のデイリー魚デリ

<VOL.29>
10月は「魚食普及月間」。
国民の健康増進などを目的に、30年以上前から水産庁が定めているものだ。

お魚好きな私、普段から肉系よりも魚介類の料理や酒肴を食べることが多い。
「魚食普及月間」に合わせて、秋の旬魚を使ったアイテムが並んでいるので、
すぐに美味しい魚デリをデイリーに楽しもう。

これは、四陸の「甘鯛のチリソース」。
これからますます美味しくなる甘鯛は、
古くから魚食の第一に挙げられてきた鯛に「あやかりたい」と目論む
「あやかり鯛」二百数十種の一つで、
昔から京都では「ぐじ」と呼ばれ、料亭や割烹の秋冬のご馳走として珍重されてきた。

香ばしい香りで、ほの甘くホロリとした白身が美味しい甘鯛の唐揚げに、
甘酸っぱいスイートチリあんが絡まっていて、
ビール、ロゼワイン、紹興酒ロックなどとよく合う一品。
もちろんごはんも進んでしまう。

こちらは旬の秋刀魚を使った秋のお弁当。

竜田揚げにした秋刀魚、揚げたさつま芋、南瓜、茄子、舞茸、ふぶなしめじ、
蓮根などが賑やかに、ギッシリとごはんの上にのせられているのが嬉しい。

甘辛い醤油ダレがコクのある竜田揚げ秋刀魚によく合い、
野菜もたっぷりと楽しめる。

「竜田揚げ」とは、紅葉の名所にちなんだ、秋を代表する料理名で、
奈良県の紅葉の名所・竜田山の景色に見立てて名付けられたもの。

~千早ふる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは~(在原業平)

秋になり、この風情ある料理名を目にする度に、
「なんと日本人は繊細なんだろう」と感心し、
ついつい「竜田揚げシリーズ」と題して、
「竜田揚げ」名が付けられたデリを買ってしまう。

風情も大事だが、食欲の秋は量も大事。
その点、このお弁当は食欲の秋に嬉しいボリュームたっぷりさもイチ押しなのだ。

テラテラと目にも嬉しい、美しい秋鯖の煮付け。
これこそ日本の食卓に欠かせない代表的な魚料理の一つだろう。

鯖好き日本人が大量に食べる鯖の多くはノルウェー産が多いが、
こちらは国産鯖を使っている。
国産の鯖は、鯖の持ち味である独特の“鯖香”が魅力だと思う。

こっくり飴色に煮付られた鯖は、
脂のうまみとコクに甘じょっぱい味付けがよく合い、
濃淳な純米酒のぬる燗で一切れ、炊きたてごはんで一切れ。
食べ過ぎ感も否めなくないが、これワタシ流 鯖煮付けの楽しみ方である。

すぐにでも行楽へ提げていきたくなる、秋刀魚ずし。
奈良県吉野の柿の葉ずしの老舗・平宗製、今だけの贅沢な押しずしだ。

柚子と醤油ベースのタレに漬け込んだ後、香ばしく焼き上げた秋刀魚を
上に一尾、飯と飯の間にもう1尾を使った贅沢なもの。

秋刀魚の色を秋色に染め上げた柚子醤油だれが効いた、
脂ののった秋刀魚の旨みとコクを、真ん中に塗られた和がらしが引き締め、
それらを合わせ加減バツグンの飯が包み込む…。

またしても「誰か止めて!」の美味しさである。

これには同じ奈良の酒、梅の宿や春鹿などを合わせたい。

10月 魚食普及月間、
スグに美味しい魚デリのおかげで、
普段の膳でデイリーに魚食をあれこれ楽しむことができるのは嬉しい。
まあ、お酒もたくさん飲むことになってしまうが。(笑)


today's item

「四陸」甘鯛のチリソース(100g)378円 ◎地下1階:惣菜売場

「イーション」さんまと野菜のにぎわい重(1折)799円 ◎地下1階:惣菜売場

「まつおか」国産鯖の煮付け(1切)594円 ◎地下1階:惣菜売場

「平宗」ゼイタク秋刀魚寿司(1折)1,400円 ◎地下1階:惣菜売場

KITANOTOMOKO

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

表示価格は、ホームページ掲載時の消費税率による税込価格です。