おなかいっぱい、シアワセいっぱい

パン遊び

<VOL.27>
女子は本当にパン好きで、パンブームも続行過熱中。
流行りのパンや新作パン、季節のパン、パンパンパンはあまたあり、目移りしつつアレコレ食べるものの、やはり昔から大好きなレトロパンも外せない。

発売されて50年近いドンクのカスクートは、幼い頃 母がよく買ってくれたマイ定番のトップチームのパン。行楽の時はもちろん、映画館へも提げて行ったのを覚えている。

母が連れて行ってくれる映画は全て洋画。私はまだ字幕の漢字の大部分が読めなかったが、彼女は、子供でも映像から だいたいのストーリーは理解できるだろうし、それよりも海外の文化、お洒落さ、ウィットなどの世界観を、映画を通じて知ってほしいという思いがあったのだそうだ。それも嘘ではないと思うが、自分が洋画好きだということが一番大きな理由だろう。

さて 映画館で、読めない漢字を飛ばし飛ばしスクリーンを見つめていたおチビの私が、夢中になっていたものといえば、子供心にもなんだか「オシャレ~」に感じるハムを挟んだバゲットのカスクート。これをオトナ顔でカシカシと齧りながら、片手に持ったコーヒー牛乳を啜って、美味に酔っていたのであった。

このカスクート、フランスでは「カスクルート」と呼ばれ、仕事や旅のお弁当として手軽に持ち歩ける日本のおにぎりのようなもの。

晴れた週末、カスクートとパックワインをバッグに放り込んで、近隣の夙川公園や甲山森林公園で遠足ブランチを楽しむひと時はとても気分がいい。

誰もが懐かしさを覚える焼きそばパン。
発祥は諸説あるが、1950年代 東京のとある店で、コッペパンと焼きそばを販売していたら、お客さんに「面倒だから挟んでほしい」と言われて生まれたのだとか。

戦後の学校給食で普及した日本独自のパンであるコッペパンに、焼きそば、スパゲッティ・ナポリタン、コロッケ、ハムカツ、ポテサラなどを挟んだ、いわゆる“惣菜パン”は、サンドイッチとも、ホットドッグともまた違う、日本ならではの炭水化物+炭水化物、おかず+パンを一緒に食べるというスタイルで、とてもユニークなものだと思う。

ちょうど今「焼きそば第3次ブーム」が来ているので、スタンダードなソース焼きそば 紅ショウガ添えではなく、パスタのような明太子焼きそばを作って挟んでみたら、なんとも美味しい。
明太子バゲットも大好物の私、焼きそばパンと明太子パンを同時に味わえる惣菜パンとなった。

バターで炒めたそばに、ほぐし明太子を入れて炒め合わせ、切込みを入れたパン・サレにサンド。茹でキャベツをちょんとのせ、食べる際にブラックペッパーをかけても美味しい。

これもレトロ惣菜パンの中で大好きなハムカツサンド。
ハムカツという惣菜も時々無性に食べたくなるアイテムの一つなので、よく肉屋さんのフライ専門店で厚切りハムカツを買って来る。

お洒落系パンに押され気味の昨今、昔ながらのコッペパンは手に入りにくいが、ドンクのバターブレッドはどこかレトロな形と味わいで、自家製ハムカツサンドに似合うパンだと思う。

新しいパンもいいが、レトロなパンもいい。
流行りのパンもいいが、自分スタイルのパンも楽しいものだ。


today's item

「ドンク」ミニカスクート(ハム&チーズ)(ハム)各335円 ◎地下1階:「ドンク」

「J.P.シェネ」イージーパック カベルネ・シラー(187ml)324円 ◎地下1階:和洋酒売場

「J.P.シェネ」イージーパック コロンバール・シャルドネ(187ml)324円 ◎地下1階:和洋酒売場

「大神食品」めんたい ばらこ(1本)756円 ◎地下1階:塩干物売場

「ポール」パン・サレ(1個)162円 ◎地下1階:「ポール」

「伊藤ハム」伊藤ハムのひとくちハムハツ(1個)98円 ◎地下1階:精肉売場

「ドンク」バターブレッド(4個入)368円 ◎地下1階:「ドンク」

KITANOTOMOKO

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

表示価格は、ホームページ掲載時の消費税率による税込価格です。