おなかいっぱい、シアワセいっぱい

スパゲッティ・ナポリタンな人


<VOL.25>
スパゲッティ・ナポリタンが好きだ。
たとえ洋食屋に魅力的な数々のメニューがあっても、絶対に注文してしまう。
一口食べれば、イタリアのナポリから伝わった料理と思い込み、ツルツルと食べていたおチビの頃を思い出す、私にとって心が温かくなるソウルフードだ。

あまりに好きなナポリタン、プロの作るナポリタンを知りたい!と、神戸元町にある馴染みの洋食屋・グリルミヤコさんの門を叩き、シェフ直伝の味を教わってきた。

グリルミヤコの創業は昭和40年だが、それ以前に長く外国船のコックだった先代が、店の心臓ともいうべき自慢のドゥミグラスソースを抱えて陸に揚がり、船上のハイカラな味を神戸に伝えてきた。現在 フランスでの修行経験を活かして、奥深い料理を作る息子の宮前昌尚さんと、姉の香里さんの細やかで温かいおもてなしが相まって、姉弟で切り盛りするこの店は地元客から観光客までファンが多い。
そんなお二人だから、今はメニューにはないナポリタンの作り方を教えてほしいとお願いすると、快く受けてくださった。

グリルミヤコの「幻のナポリタン」登場!
まず、運ばれてきた時の香りが違う!一口食べると、ふわぁ~っとバターとワインほか複雑な芳香が鼻腔を抜ける。次に、ベーコンと野菜の旨みとコク、調味料が混然一体となって絡まったスパゲッティは、深い味わいの極上の美味しさだ。店で削っているというパルミジャーノ・レッジャーノの粉チーズは5口目ぐらいから振りかけたが、チーズの旨みがナポリタンをさらにさらにコク深くしてくれる。

このナポリタンと一緒に味わうウイスキーのなんと旨いこと!昔の洋食屋のお客さんは、ワインはもちろんだが、ウイスキーと共に料理を楽しんだ。ミヤコではしっかりとその伝統が守られており、ほかにもチンザノ、カンパリ、リカールなど幅広いラインナップが嬉しい限り。

ミヤコでは、ナポリタンの味付けにはケチャップとドゥミグラスソースを使っていたそうだが、今回は家庭で作りやすいように、ケチャップとビーフコンソメで。

シェフによるとナポリタンには、豚の加工品なら何でも合うとのことで、ご自身の好きな順番はベーコン、ハム、ポールウインナーとのこと。(笑)

<材料/ガッツリ1人前>
●材料:ベーコン(2枚)、玉ねぎ(1/2個)、ピーマン(小1個)、マッシュルーム(2個)、茹でたスパゲッティ(160g/細い方がソースによく絡んで美味しい)、粉チーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ)

●調味料:バター(カレースプーン山盛り)、ケチャップ(大さじ1)、ビーフコンソメキューブ(1/3個弱)、白ワイン少々、水少々、塩・胡椒(黒でも白でもOK)・味の素 各適宜

<作り方>
①写真上段左:各具材を写真のような厚み・サイズに切る。

②写真上段右:熱したフライパンに、写真の量のバターをたっぷり入れて、ベーコン、マッシュルーム、ビーフコンソメを入れて強火で炒める。次に玉ねぎとピーマンを入れさらに炒める。

③写真下段左:炒まってきたら、塩ひとつまみ、胡椒、味の素を入れてさらに炒めて、白ワイン少々と水5~6滴ほどを振り入れてムイエ(濡らす)する。次にケチャップを入れる。

④写真下段右:茹でておいたスパゲッティを入れ、具材と炒め合わせて出来上がり。

【プロのお言葉・ココがポイント!】
★「野菜の顔色を見ながら炒める」→そのココロは、フライパンの中の野菜が、水気がほしいと思っているなと感じたら水をパパッと振りかける。水はワインボトルなどに入れておき、口を親指で押さえながらフライパンの上で振るとよい。
★最初から最後まで強火で炒める。

グリルミヤコHP:http://grillmiyako.intrest.biz/

プロのナポリタンの後に登場させるのは気が引けるが、こちらはワタシ流ナポリタン。
具材の野菜は全て同じだが、いつもはハムを使う。バターで半熟程度に炒めた玉子を入れるのが大好き。ナポリタンのスパゲッティは、私も細い方が好みだ。

ハム、野菜類を炒めて塩・胡椒を振り、ケチャップ、赤ワイン少々、砂糖ひとつまみを入れてケチャップを焼く感じで炒めたら、バター玉子を加え、茹でておいたスパゲッティを入れて炒め合わせる。

具だくさんな上に、スパゲッティの量もガッツリな一皿。なんといっても大好きなナポリタンだから、心ゆくまで楽しみたい。だから今日はダイエットなんてことは考えない。これでいいいのだ。

ナポリタンにはカゴメケチャップも使うが、今回は岐阜県明宝村のもの。地元トマト農家のお母さんたちが手づくりで作るケチャップは、サラッとしているのに、コクと甘みがあって美味。


today's item

岐阜「明宝レディース」トマトケチャップ(300g)627円 ◎地下1階:にっぽんうまいもん紀行

KITANOTOMOKO

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

表示価格は、ホームページ掲載時の消費税率による税込価格です。