おなかいっぱい、シアワセいっぱい

VOL.23「手間“火魔”かけず~チーズのメイン食」


8月もとうとう最後の土曜日。
暑い夏の間 いかに手間をかけず、悪魔ともいうべき火を点けている時間を極力短くしたメニュー創りもいよいよ終盤を迎えている。

うだる夏場の食事は、ざる蕎麦、素麺、冷やし茶漬など、冷たい一点ものだけでササッと済ませることが多く、知らないうちに「隠れ栄養失調」状態になっていたりするようだ。
「こんなに元気なのに、栄養失調って…?」と思うが、気づかないだけなのだそう。

そこで思い付いたのが、たんぱく質やカルシウムなど栄養たっぷりのチーズをごはんタイムに取り入れること。私の夏のフードライフでは、チーズは専ら、「食後のBARのアテ」ポジションだったが、メインの食として食べてみたら、これがとてもイケるのである。

スライサーで薄く削いだパルミジャーノ・レッジャーノとベーコンをごはんにのせ、ブラックペッパーをたっぷりと振りかけた「パルミジャーノベーコンごはん」。パルミジャーノの独特の風味とホロホロ食感に、缶詰ならではの凝縮したベーコンの旨み、そこへピリリと効くペッパー…コレ、ごはんに合う合う!

これはちょこっとだけ手間火魔がいるが、超美味だった「カチョカヴァッロおにぎり」。
まず、ほんの軽めの塩だけで握ったおにぎりを用意(カチョカヴァッロにも塩味が付いているので)。熱したフライパンに油はひかず、1cmほどにスライスしたカチョカヴァッロの両面をそれぞれ1分ほど焼き目がつくまで焼き、おにぎりにのせ、海苔を巻く。てっぺんには、バジルをちょんと。

鼻腔を抜けるとろけたカチョカヴァッロの香り、焼いた香ばしさとチーズの塩味が、海苔とごはんにとてもとてもマッチする。クチャンクチャンとした食感もかなりイイ。

こちらは食パンに岩海苔を塗り、チェダーチーズをのせてトーストした「岩海苔チーズトースト」。
個性の強いモノ同士が独特のハーモニーを奏で、和なのか、洋なのか不思議な味わいで、なかなかクセになる一品だ。

常備しておきたいチーズ3種(上から時計回りに、パルミジャーノ・レッジャーノ、カチョカヴァッロ、チェダーチーズ)とベーコン缶詰(<缶つまレストラン>シリーズ)。

これさえあれば、今後 シンプル(手抜き)&リッチ(リッチ系チーズ使用)な一品がスグに楽しめること間違いなし。

KITANOTOMOKO

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

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