おなかいっぱい、シアワセいっぱい

VOL.15「トワイライト・アペリティーヴォ」

暮れない夕暮れ、夏のトワイライト・アペリティーヴォはいつもウキウキ。この1杯(いや2~3杯か)は、仕事や暑さの疲れ、ストレスを癒してくれる力を持っている。さらにちょいちょいと料理を作りながら飲むアペリティーヴォはナゼこんなに美味しく楽しいのか。

こんな時の料理には、私好みのタパス。グラス片手にMUSEのMERCYなんかを歌いながら、夏ダコをトマト、茸、にんにく、パプリカなどで煮込んでいる自分がいる。


スペインのサングリアは夏に似合う、私への乾杯のお酒。リーズナブルで美味しいワインに、お気に入りのフルーツを浮かべて冷蔵庫で数時間寝かせるだけ。赤ワインで作ることが多いが、今回は白ワインに、ライム、グリーンシードレスぶどう、ペパーミントを浮かべた涼し気な白いサングリアを作った。


タパスを食べたくなったもう一つの理由は、イタリアの親友からのLINEに、今年の夏休みは世界遺産のサンティアゴ・デ・コンポステーラへ行くというメッセージがあったから。スペインのキリスト教三大巡礼地の一つで、世界中から巡礼者が絶えないこの聖地―キリスト教ではない私もいつか訪れてみたい憧れの場所だ。

自分を見つめ直し、自然の力を感じ、ただひたすら歩く―その先に何が見えるのだろうか…何も見えなかったらどうしよう…いやいや、この旅はまだ先にとっておこう。


ちょっと親友には怒られそうだが、巡礼旅の目的は他にもあり、ルート各地の郷土料理探訪に、最終地の町でやってみたい“バルはしご”。

昔 読んだ本には、静かなこの町、夕暮れともなればわらわらと人が溢れ、バルの立ち飲みカウンターでワインをあおりながら、店の名物タパスをつまんで、また次のバルへ。普通4~5軒は飲み歩くという、愉快で人情溢れるはしご酒の習慣は魅力的過ぎる!

古都サンティアゴ・デ・コンポステーラ、さぞかし郷土愛に溢れたタパスが山積みに違いない。

KITANOTOMOKO

Writer 北野智子

フードディレクター。唎酒師。
食べものとお酒を愛し、1日中食べ続けていたいほど食い意地が張っている。
日本の旬、歳時記、食の歴史・謂れなど食文化に興味が尽きない。
尊敬する人は、江戸時代の風俗・事物の書『守貞漫稿』の著者・喜多川守貞。
ほか愛するものはイタリアの食文化、食の本(蔵書は1000冊以上)、器やキッチンツールほか、雑貨&ステーショナリー(ともに食関連が特に)、旅、世界のBARなど。世界中のお酒を飲んでみたい。

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