関西焼き餃子、アレンジ系進化の途中。by曽束政昭
<阪神のクラフトビールと餃子マーケット>

2019.6.25 更新
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 関西人にとっての餃子、イメージするのは焼き餃子だろう。今や王将や珉珉のチェーン店にも店ごとに焼き具合が違ってファンが付いているほど餃子狂時代が到来している。ご当地食ブームも手伝って、栃木の宇都宮、静岡の浜松が注目されてきた。それぞれにソウルフードとしての餃子が存在していて、2県以外にも全国各地に餃子があり、それぞれの地域で愛されてきた。

 今ではルーツである中国から「日式」と呼ばれる焼き餃子。戦後に広まったというのが通説だが、珉珉は戦中の昭和18年創業、その後に戦後の引き揚げ者が大陸から持ち帰ったものが広まったようだ。
 神戸の焼き餃子、味噌ダレの発祥はどうやら南京町の[ぎょうざ苑]が始まりのようで、創業者が満州の日本人街で焼き餃子に日本の味をと味噌ダレを始めたところその地域で流行。帰国後に南京町で味噌ダレを始めたところ神戸に焼き餃子と味噌ダレが広まったとされている。

 高度成長期を経て、大阪で独自進化した餃子の中でも、北新地界隈に広まったのが一口サイズの餃子だ。小さく折りたたんだような生地、あっさりした具の専門店が夜の街で受けたのは、ラウンジやクラブへの出前に使えるからという地域性も餃子進化に影響を与えてきた。
 大衆中華の店でも餃子に人気が集中した店も生まれ、大東市の[丸正餃子本店]に見られるような薄皮、細包みの焼き目こんがりタイプを一人何人前も注文してバクバク食べる常連客の多いこと。ここまでが昭和の餃子といってもいいだろう。

 さて平成も後半になって生まれたのが、アレンジ系餃子の流れだ。具に、トッピングにアレンジを加えた餃子が続々と登場し、餃子バル、居酒屋などで進化している。
 2015年ごろには、焼き餃子とシャンパン、スパークリングワイン、果実味濃い赤ワイン、白ワイン、ロゼワインと合わせる店が続々登場。餃子メインのバールや、鴨肉を使う餃子と赤ワインを提案する店も登場した。また、アジア料理店のバル化によってパクチーも街場に浸透。パクチーを焼き餃子の具に入れたり、焼き餃子の皿の上にこぼれんばかりに盛りつけたりするなど、一つの現象ともなっている。

 近年では、もともとビールと相性のいい焼き餃子だが、クラフトビールの店が増殖した流れもあって、日本のビールよりも味わい、度数、ともに濃いクラフトビール×焼き餃子のタッグが生まれた。
 谷町四丁目駅近くのクラフトビールを扱うビアバー[ハレノヒ]でも、しそ餃子、キムチ餃子、炙り焼きチーズ餃子と、クラフトビールが楽しめる。大阪らしい紅ショウガ入り餃子もレギュラー化された。


 また、タレの組み合わせにもトレンドがあり、関東からの流れと思われるのが酢とコショウの組み合わせ。実にさっぱりとした味わいで、食べる個数がどんどん増える。新しいタイプのタレとしては福島駅近くにある[泡ギョーザ ファンホリック]のように、タレを泡状にして提供し、粉末状のラー油を添えてある。焼きたての餃子に泡と粉をのせてバクッと食べれば、フワリとタレの香りが全体を包み、液体よりもライトな感覚でパリッとした皮の香ばしさがより引き立つというものだ。


 こうして関西の焼き餃子は、周りの流行や環境を受け入れながら新しい味に進化し続けてきた。小麦粉と肉と野菜というシンプルな素材だから、受け身が取りやすい。すなわち自由度が高いものであったからこそ、まだまだ新しい美味しさの可能性を持っているのだ。もちろん作り手だけでなく、食べる側にも自由があるからこそ、まだまだ進化の途中なのだ。


曽束政昭●関西屈伸のフードライターとして活躍。
instagram:@masaaki_sotsukaでは、日々取材している食写真を公開中。


阪神のクラフトビールと餃子マーケット
◎2019年7月17日(水)→23日(火)
◎8階催場<最終日は午後4時まで>
コラム原稿中に登場する[ハレノヒ][泡ギョーザ ファンカホリック]も出店!


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2019.6.25 更新
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