LOVE! PORTLAND 10人目
小倉ヒラクさん(発酵デザイナー)|ポートランドフェア2017
2017.4.14 更新
発酵デザイナーという唯一無二の肩書きで、発酵カルチャーをさまざまな形で世に伝え、発酵食の奥深さを表現している小倉ヒラクさん。待望の著書『発酵文化人類学』の発売も4月末に決定しています。 ヒラクさんは、自宅にDIYで発酵デザインラボを立ち上げたり、発酵にまつわる技術や表現を次々とオープン化するなど、そのマインドはまさにポートランドのブルワーやメイカー達にも通ずるところが多くあるようですよ。 ![]() 小倉ヒラク 発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップをおこなう。絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞受賞。2015年より「こうじづくりワークショップ」を全国で展開中。新刊『発酵文化人類学』(木楽舎)が4月28日発売。 ―ヒラクさんはポートランドにどんな印象を抱いているのでしょう。 世界各地旅をしていますが、アメリカ大陸にはまだ足を踏み入れたことがありません(>_<) ポートランドの人に会って話を聞いたかぎりですが、「アメリカのオルタナティブカルチャーの象徴」のような場所だと思いました。 ―麦芽とホッブを発酵させたビールも発酵食品ですが、ヒラクさんが興味を持っているクラフトビールはありますか。 実はものすごいレベルに達している日本のクラフトビール。僕の住んでいる山梨の「アウトサイダーブルーイング」、そして、仲良しの鳥取の「タルマーリー」、大阪の「箕面ビール」や、去年デビューした鹿島の「Paradise Beer Factory」など、ナイスすぎるブリューワリーが百花繚乱です。 海外で言えば、現地で体験したイタリアやハンガリー、リトアニアのクラフトビールがどれもレベルが激高で日本人好みの味をしていました。日本人の好みに合わないかもしれませんが、イギリスの田舎のリアルエール(樽で醸して瓶詰めしないでそのまま飲む、ぬるいビール)も愛してます。ビール万歳! ―昨年、初の学会デビューがブダペストだったそうですね。海外ではヒラクさんの活動に対してどんなリアクションがありましたか。 ![]() 海外でのワークショップ。 「まさかデザインと発酵が合体するのか!」というのがまずひとつ。歌って踊って麹や味噌を仕込むワークショップは超好評でした。また、和食の発酵食品(とりわけ味噌や醤油などの調味料)については「油や動物性タンパク質を使わなくても味をリッチにできる」という点が高評価でした。 先進国はどこも肥満と生活習慣病が大問題になっているので、予防医療とグルメが合体した発酵食品に脚光があたっているのですね。 ![]() ヒラクさんは自宅をラボ化。海外のDIYラボなどでノウハウを教わったりも。 ![]() 2015年、菌を育てるために山梨・甲州市の山の上へと引っ越した。 ―一般家庭で発酵にDIYで挑戦しようと思ったら、最初の最初の第一歩として何がオススメ? まずは麹を買ってみると、いろいろ手づくりしたくなってきますよ。筆頭は何と言っても「手前みそ」! お家でひとりでチャレンジするのが不安でも、全国どこでもワークショップをやっているのでまずはそれに参加するのもアリ。甘酒づくりや塩こうじづくりもオススメです。 ![]() ヒラクさんも「こうじづくりワークショップ」を各地で開催している。 ―味噌づくり、麹づくりを歌とダンスで紹介するヒラクさんの絵本も参考にできそうです(『てまえみそのうた』『おうちでかんたんこうじづくり』、いずれもDVD付、農文協から刊行)。そして、4月に発売される『発酵文化人類学』は、およそ400ページという渾身の1冊。今年はこれからどんなことを考えていますか。 発酵文化はローカルカルチャーの花形。北は北海道から南は沖縄まで、「全国発酵文化人類学ツアー」に出て、イベントとフィールドワークに精を出していきたいと思っています。あとは、この企画をきっかけに、僕もポートランド行くぞー! あっちで麹や味噌のワークショップやりたい! ![]() 発酵醸造に関わる注目の若手を集めたトークイベントなども企画。 ![]() 『発酵文化人類学』は、雑誌『ソトコト』での連載に研究、フィールドワークの成果を追加して、完全に書き下ろした1冊。4月28日発売。 *小倉ヒラクさんが「ポートランドフェア」の会場にやって来ます。4月26日(水)18時から、『発酵文化人類学』の編集も担当されたソトコト編集部・橋本安奈さんとのトークイベントが決定! |