渡部さん、美味しい「いちご」教えてください!

阪神梅田本店の#いちごバレンタイン企画の1つとして、いちご研究家の渡部美佳さんから、他では聞けないいちごのお話を伺ってきました。

場所は渡部さんがオーナーを務める「メゾン・ド・フルージュ」の向かいにあるマンションの一室。 扉を開けると、エプロン姿の渡部さんが!
あれ?ここは渡部さんのご自宅・・ではなく、店舗の事務や試作品の開発を行うためのスペースだそう。

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ここでは主に商品の試作や事務作業を行っていますが、キッチンが広いところが特に良いですね。お店から近いのも助かっています。

中を見ると、ちょうど試作の商品を作っているところにお邪魔したようで、作業の合間に今回の趣旨を改めてお話し、早速本題にはいりました。

いちごバレンタイン編集部

美味しいいちごの条件と、買うときのポイントとは?

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これは持論ですが、食べる人のお口の容量に合ったいちごが、素材の味を一番楽しめると思っています。例えばヘタの部分は味は薄いですよね?分割して食べると味が分かれてしまいます。
そのため私は一口で食べられない場合、ヘタも先端も食べられるサイドから食べますね!いちごは一口。これは絶対です。

いちごは一口で食べましょう!という熱い思いを語ってくれた渡部さんですが、美味しいものを美味しく食べるためのシンプルなアンサーなのではないでしょうか。人それぞれ「甘いいちごが好き!」「いやいや酸味があってなんぼでしょ」などなど・・マイベストいちごを語らせると夜が明けてしまいますが、渡部さんの美味しいいちごの定義に一同納得。それは・・・

とにかくいちごの味が濃いという事

甘さも酸味も、それ以外の様々な味わいをはっきりと感じられるいちごを「美味しい」と定義する渡部さんですが、渡部さん的美味しいいちごのポイントは以下の通り。

POINT!!

  • ◎ 晴天が続き朝晩の寒暖差があると美味しい
  • ◎ 比較的春いちごは小粒、冬場は大粒が美味しい
  • ◎ あまおうは1〜2月が狙い目
  • ◎ やよいひめは冬をはずして11月、3月頃が狙い目

農作物であるいちごは、当たり年や輸送・保存環境によっても味わいが変わるため一概に言えないそうだが、これまでの経験則では上記がポイントだそう。

さて、美味しいいちごについてはわかりましたが、そもそもいちごはどんな工程で栽培されているのでしょうか。

いちごバレンタイン編集部

いちご作りの難しさについて教えてください。

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実は思った以上に手間がかかっています。ほったらかすと、葉や実が好きなだけ成長してしまうため、きちんと管理しないと美味しくなりにくいですね。

渡部さん曰く、より美味しくたくさんのいちごを結実させるには栄養を「株の成長」と「果肉の成熟」にうまく振り分ける必要があるのだと。「このままでは枯れてしまう!」と苗が感じると実をつけなくなるので、この振り分けのノウハウがいちご農家にとって大切なポイント。

また、当然いちごにも収穫の仕事があり、1シーズンで多いときで40回も行われることがあるため、それだけでも大変な労働量になります。そのため、最近のいちご農家では負担を減らすため、腰高の位置で栽培ができる「高設栽培」が増えており、水やりなどをシステム化する傾向にあるのですが、じゃあ全て高設栽培にすれば良いかといえば、そうとも言えない状況だとか。

高設栽培のイメージ

例えば「とちおとめ」は栃木県の8割の生産者が「土耕栽培」をしており、読んで字のごとく土に植える栽培方法。つまりは地植え。地上数センチの位置(低い!)にいちごができるため、収穫時の腰への負担が大変なことに・・
ただし、その分いちごの果実へ土壌のミネラルや微生物による酵素が働き、複雑な味わいのいちごに仕上がるというもの。

味わいの土耕か、効率化の高設かという捉え方ができるため、一概にどちらが良いとは言えないが土耕栽培の農家はとても気合いが入っていますね!

※高設栽培のいちごでも美味しいのはたくさんあります!

いちごバレンタイン編集部

ちなみに、渡部さんのおすすめ品種とは?

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その質問ですが・・実は私はいちごを品種で選んでおらず・・・

と苦笑いを浮かべながら、申し訳なさそうにお話いただく渡部さんですが、それにはきちんと理由がありました。

渡部さん曰く、いちごの味に影響を与えるのが品種よりも「人」であるということ。
人=人的要因という事だがつまり、生産者が管理する土壌や育成方法、気候条件によって、甘味や酸味、ミネラルなどの複雑な味が作り上げられるため、1つの例として、同じ生産者の元でつくられた別品種のいちごでも、食べてみるとどこか似た味がするということをお話いただきました。

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品種で語られがちですが、実は作り手によって全然味が違うので、ぜひ生産者も意識して食べてみてください!

信頼する農家から直接仕入れている新鮮ないちごをたっぷりつかった「メゾン ド フルージュ」のケーキ

ついつい「お!あまおうがめっちゃ大きい!」とか「紅ほっぺが安くなっている」とか品種(値段も?)で選んでしまいがちですが、誰 (どこ) が作っているかというのが実は大切な事というのは知りませんでした!

最近では、産地や生産者などが明記されているケースも多くなりましたが、とは言え生産者の情報まではよくわからないことも多いので、インタビューの中で「美味しいよね!」と会話に上がった品種を最後にこっそりご紹介します。

話に上がった品種たち

桃薫 (とうくん)
渡部さん史上最高のいちご。一般的ないちごよりも淡いピンクの表面が特徴。見た目が個性的で華やかだが、上手な生産者で作られた桃薫は香りも食感も桃そっくりの絶品いちごになるそう。※2021年に渡部さんのお店で食べられる予定。
古都華 (ことか)
紅ほっぺを親にもつ奈良県で生まれた新品種。味がとても濃いのが特徴とのこと。
とちおとめ
女峰を親にもつ栃木県を始め各地で20年以上の栽培歴あるロングラン品種。長い栽培歴で生産方法のノウハウが蓄積されており、最も安定感のある品種と言われている。発祥元の栃木では80%が土耕栽培で作られており、気合の入り方がうかがえる。

いかがでしたでしょうか?渡部さんフィルターを通したいちごの世界とともに、ちゃっかりと品種も合わせてご紹介させていただきました。

渡部さんの人柄として、ただの感覚だけではないデータを元にした分析と、自治体などの専門機関も利用して日夜いちごの情報収集を徹底しており、なおかつトライアンドエラーを繰り返す姿に、洪水のようないちご愛を感じた90分のロングインタビューとなりました。

今回ご紹介した品種のいくつかは、8階催場や各階イベントスペースでもご賞味いただけます。この時期しか食べられないたくさんのいちごをご用意してお待ちしております!

渡部さんのお店のご紹介

メゾン ド フルージュ 苺のお店

京都府京都市中京区三文字町201

営業時間 11:00〜19:00 / 月曜定休

ichigonoomise.com

COLUMN コラム

INFORMATION イベント情報

Date & Place

いちごスイーツ

1月22日(水) → 2月14日(金)
各階イベントスペース

阪神のいちごとチョコフェス2020

1月30日(木) → 2月14日(金)
8階催場 ※最終日は午後6時まで